Last Updated on 2026年1月8日 by
Webサイトには、ある程度のボリュームを持ったコンテンツがないと検索結果に表示されにくいという状況があるため、コンテンツを確保するために記事を量産するプロセスが存在します。
ただ、記事が多いことと、記事の質が高いことは別問題です。検索エンジンは記事の質も評価しているため、記事を増やせばいいという単純な取り組みだけでは、まったく不十分といえます。
むしろ記事の量産を目指さないことで、質が向上するといえるでしょう。
記事を量産することのデメリットや、Webライターが抱える矛盾、記事の質を確保する方法について考察を行います。
- SEOのために記事を量産してしまう状況
- 記事を量産することで起きる問題
- ブランドイメージへの悪影響
- SEOのための記事が逆効果になる矛盾
- 記事の質を確保するために
- まとめ:Webサイトの価値を高める記事を投入しよう
SEOのために記事を量産してしまう状況
普通にブログを書いているとき、一度にいくつもの記事を書くことは少ないでしょう。
それほどネタも思いつきません。
ただ、SEOのためには目的を持った継続的な投稿が重要であるため、個人が1人で書く場合には、長い月日を費やして記事を蓄積していく必要があります。
記事作成を専門の制作会社に依頼すると、制作会社に所属または契約している数多くのWebライターが分担して記事を書くため、短期間で大量の記事を作成可能です。
記事の量産方法
Webサイトやサービスに関係する検索キーワードを数多く抽出して、それぞれの検索意図を分析してユーザーが必要とする記事を作成するのが、基本的な量産方法といえるでしょう。
もし、Webサイトに関係するキーワードが1つしかなければ多くの記事を作成できませんが、実際には2つや3つのキーワードを組み合わせて検索するユーザーが多い状況です。
たとえばメンズウェアを探しているユーザーが検索するキーワードとして、「アウター デニム メンズ」があるとします。これは3つのキーワードを組み合わせた複合キーワードです。
Webサイトがメンズもレディースも対象にしている場合は「アウター デニム レディース」もキーワードとして有効です。
さらにボトムを扱っている場合、「ボトム デニム」などのキーワードで検索するユーザーも対象になります。
このように、Webサイトが持っている個々のコンテンツに関連するキーワードを複数リストアップして、それぞれについて1本ずつ記事を書くことが可能です。
量産することを第一目的にする場合
新しくWebサイトを立ち上げたり、既存のWebサイトに新しいカテゴリーが生まれたりした場合、そこに多くの記事が必要です。
最初の段階では「とにかく記事を増やす」ことが第一目的となる場合が多いため、数多くのキーワードを考えて記事に落とすプロセスが有効です。
Webライターを多く抱える制作会社では、それだけ多くの記事を短期間に投入できますが、Webライターへの依頼が多いため、個別の記事の質を確保するところまで手が回らないケースもあるでしょう。
記事を量産することで起きる問題
どのような仕事でも「量」と「質」は一般的に相反するもので、同時に満たすことは難しいのが現実です。
記事を量産することで次のような問題が発生しますが、それは概ね質の低下を意味します。
- 類似コンテンツが増える
- 検索意図を満たさない記事が増える
- 内部リンクが複雑になる
- ユーザーが必要な記事を見つけにくくなる
- 個々の記事の内容が薄くなる
- 滞在時間が減少する
これらのうち、ポイントをピックアップして以下に解説します。
類似コンテンツが増えるメカニズム
記事を量産すると類似コンテンツが増える理由は、前述の量産方法にあります。
さまざまなキーワードの組み合わせを考える時点で、キーワード自体が類似しているからです。
前述の例でいうと「ボトム デニム」にはメンズもレディースも考えられるため、「ボトム デニム メンズ」「ボトム デニム レディース」を含めて3つの組み合わせがあります。ここから少なくとも3つの記事が作成可能です。
ただ、3つの記事はすべて「ボトム デニム」をキーワードとして含んでいるため、「ボトム」と「デニム」あるいは「デニムのボトム」についての内容が含まれることになります。
この時点で、ある程度の内容の重複は避けられません。
実際には「ボトム デニム」にデニムのボトムに関する内容をしっかりと書き、「ボトム デニム メンズ」にはメンズの特徴を主体に書くことで、記事間の類似性を低くできます。
しかし、すべての記事についてこのようなコントロールを完璧に実施することは難しいため、記事を量産すればするほど類似コンテンツは増えるでしょう。
ユーザーの混乱
類似コンテンツが増えると、ユーザーは混乱します。
たとえば、検索してたまたま1つのページにたどり着き、その内容だけを見たユーザーは混乱しないでしょう。
しかし、Webサイトに興味を持って別のページ、たとえば同じカテゴリーに属するページや内部リンクから飛んだ先のページなどを見たとき、その内容の多くが類似しているケースがあります。
そうすると、ユーザーはどの内容が最も自分に必要なものかを判断しなければならなくなります。あるいは「ほかにも何か書かれているのではないか?」と探し回るかもしれません。
また、互いに類似する記事同士で矛盾する記述があった場合(たとえば数字が異なるなど)があると、どれを信じてよいか分からなくなるでしょう。
記事内容の希薄化
記事の内容が薄くなる例として、たとえば「ボトム デニム メンズ」のキーワードを対象に記事を書く場合、「ボトム デニム」の記事に書く内容と重複しないように「メンズ」の特徴を強調して書いたとします。
もしそこで、「ボトム デニム」のことをほとんど説明していなければ、そもそもデニムのボトムの話なのかどうかも分からなくなるでしょう。情報が欠落して薄くなる可能性があります。
また、多くの記事を書くために同じ情報ソースを使用した場合、元の内容が分散しただけの記事群になる可能性もあります。
ブランドイメージへの悪影響
記事の量産はWebサイトやサービスの価値、ひいてはブランドの価値に悪影響をおよぼす危険性があります。
たとえば次のような懸念です。
- 検索結果に自サイト内の似たページが並ぶことでうるさく感じられてしまう(あるいは迷う)
- 記事の内容が薄く参考にならない
- Webサイトの回遊時に混乱してUXが低下する
これらのことは、専門性や信頼性を損なう要因となり、サービスを利用する動機やコンバージョンに影響します。
ブランドイメージを壊すことにつながり、既存ユーザーが離れる事態になりかねません。
長期的にみて大きな損失となる可能性があります。
SEOのための記事が逆効果になる矛盾
スタート時点ではSEOのために実施した記事の量産が、結果としてSEOから遠ざかるという矛盾を生むケースは十分、考えられます。
次のような逆効果が想定されますが、制作側にとって残念なことといえます。
- キーワードを大量に設定することによる品質の低下
- やみくもに多くのWebライターに依頼したことによる品質のばらつき
- 低単価・短納期で記事作成を依頼することによるインナーブランディングの欠如
- 無秩序に数多くの検索意図を満たすことがWebサイトの一貫性を損なうこと
- Googleの評価基準(E-E-A-T)を満たさない記事の量産
Webライターにとっても、記事を作成することによる充実感が乏しく、数だけに達成感を得るような働き方になるでしょう。
記事の質を確保するために
「記事を量産すると質は低下する」という法則に近い状況があります。
記事の質を落とさないためには量産することを第一目的にしないのがよいでしょう。
記事の質を維持するためにすべきことを以下にまとめます。
キーワードを精査する(キーワード戦略)
SEO記事の品質は、キーワード選定の時点である程度決まってしまうでしょう。
キーワードを精査することで、低品質の記事を排除可能です。具体的には次のようなポイントがあります。
- 記事のターゲットと提供する価値を明確にしてキーワードを選定する
- 関連記事の役割分担を明確にする
- 検索意図を言語化する
- 読者の視点から記事を評価する
- 類似記事を統合する
- リライトで記事の内容をより具体的にする
- ニーズが見込めるニッチなキーワードを掘り起こす
これらのステップをライティングのワークフローに取り入れることで、記事制作の戦略が明確になります。
ライティング・ワークフローを改善する
ライティングの品質には、ライターのモチベーションも影響します。
一つひとつの記事に意義を見出せるワークフローの構築が必要です。
- 設定キーワードの必要性を評価する(編集・ディレクションレベル)
- 調査・構成に時間をかける
- 品質のボトムをキープするためにテンプレートを作成・運用する
これらのポイントを踏まえ、執筆に入る前段階にパワーを配分することで、ムリ・ムダなライティングを抑えられます。
UX(ユーザー体験)を設計する
ユーザーにとってSEOは、記事との出会いには必要ですが、Webサイトを訪れた後は関係がなくなります。
コンテンツそのものがユーザーにとって魅力的で、価値や意義、満足を感じられることが重要です。
記事のUXを向上させるポイントとして、次のことが挙げられるでしょう。
- 内容に独自性があり新たに発見できる要素がある
- ユーザーが自分ごとにできる要素がある
- ユーザーとの対話を意識する(フィードバックの反映など)
- 写真や動画などのビジュアルを活用する
- ユーザーにとって有意義なCTAを設置する
最初に訪れた記事の印象がよいと、他の記事も読みたくなり、Webサイトに興味が湧くでしょう。
UXを向上させるライティングのポイントは、次の記事で詳しく解説しています。
関連記事:WebサイトのUXを向上させるためにライティングでできること
まとめ:Webサイトの価値を高める記事を投入しよう
生成AIがライティング・ワークフローに入りつつあります。
既存の情報やテクニックを記事に反映することは、生成AIでも可能な状態です。
もし、記事数だけが目的であれば、生成AIに頼るのもよい方法です。わざわざ人海戦術で量産する必要もありません。キーワード選定に間違いがなければ、一定の成果が期待できます。
一方で「質」に対するニーズは、今後はより高くなるでしょう。ユーザーにとって価値ある記事をWebサイトに投入することが、記事やWebサイトの質を高めます。
さらに将来を見据えて、継続的に価値を向上させていくためには、マーケティングとの連携が不可欠です。
ユーザーにとっての価値を長く提供し続けることで、Webサイトやサービスの信頼感を生み、ブランドが形成されます。
